爆心地に近く原爆で破壊された長崎市の浦上天主堂では9日早朝、原爆の犠牲者を追悼するミサが開かれた。約300人の信徒らは手を合わせて犠牲者を悼み、平和を願った。
午前6時。早朝の日差しを受けたステンドグラスがきらめく聖堂で、オルガンの音が響き渡った。信徒らは神父の言葉に耳を傾け、聖歌を歌い、祈りを捧げた。参列者には、原爆投下後の長崎に進駐した米軍の従軍カメラマンが撮影した「焼き場に立つ少年」の写真に、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王のメッセージを添えたカードが配られた。
7歳の時に爆心地から約700メートルで被爆した長崎市の岩間志津子さん(80)は、原爆で両親と姉、祖母を亡くした。「今でも家族を失った悲しみは消えない。誰もが傷つく戦争はなくなってほしい。すべての死者が安らかに過ごせるよう祈りました」と涙ながらに話した。(弓長理佳)