甲子園のおひざ元、東兵庫代表の報徳学園が16日の第1試合で愛工大名電(西愛知)に7―2で逆転勝ちし、8強に一番乗りした。大声援の後押しを受け、球場をよく知る選手たちが躍動した。
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報徳学園は阪神甲子園球場と同じ兵庫県西宮市にあり、球場から約5キロと至近距離。昨春の選抜大会には出場したが、夏は8年ぶりと遠ざかっていた。ただ、経験不足の心配は無用だった。
4点目の本塁を踏んだ主将で4番の神頭(かんとう)勇介君(3年)と、遊撃手として好プレーを見せた小園海斗君(同)は兵庫県出身。中学時代、同じチームに所属し、甲子園で開かれる大会に出場した。「最初は球場の大きさに驚いた。でも今は動じない」と話す神頭君。試合後、「甲子園は報徳学園にとって地元。観客全員が味方に見えた。リードされても焦りはなかった」。小園君も小中学時代に甲子園のグラウンドを計7回経験している。
また、エースの渡辺友哉君(同)と外野手の亀田龍磨君(同)は、西宮市の出身。同市では毎年、市立小中学校などの小学6年~中学3年生が参加する「連合体育大会」を甲子園で開き、学校対抗リレーなどをする。甲子園には慣れたという渡辺君はこの日の登板はなかったが、「実際に走って気づいたのは土の硬さ。打球のバウンドが高くなることに注意が必要」とコツを明かす。
またベンチ入りする2年生3人は、今春の甲子園大会直前、甲子園で「プレー」した。3人は、審判を対象にタイブレークでの動きを確認する日本高野連の事前研修会に参加。依頼を受けて、タイブレークの試合を実演した。投手の林直人君(2年)は「マウンドは少し硬くて踏み込みにくいので、球が浮かないよう気をつけたい」。この日先発した林君は序盤、想定した通り、球が浮いたが、守備に助けられて落ち着きを取り戻した。
三塁手として堅守を見せた大崎秀真(しゅうま)君(2年)は、西宮市内に自宅があり、幼い頃から何度も甲子園で試合を観戦。一つの失策で流れが変わるのを見てきた。これまでの2試合で失策ゼロ。「失策で歓声が上がると、選手は雰囲気にのみ込まれがち。気を付けたい」と自分に言い聞かせていた。
一方、敗れた愛工大名電の主将西脇大晴(たいせい)君(3年)は「初回の攻撃で浮足立ち、1得点止まりになった。地元の出場とあって、甲子園はアウェーな感じだった」と悔しさをにじませた。(山崎毅朗)