50年前の1968年8月に当時のチェコスロバキアにソ連軍などが侵攻し、「プラハの春」と呼ばれた民主改革を圧殺した事件について、ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」は21日、ロシアの回答者の3分の1が「侵攻は正しかった」とした調査結果を発表した。当時のチェコスロバキアの民主改革を「反ソ分子による政変」「西側による策動」と否定的にとらえる回答は計44%にも及んだ。
「プラハの春」ではチェコスロバキアの共産党政権が自ら民主化を進め、「人間の顔をした社会主義」を目指した。しかし、ソ連など社会主義諸国からなるワルシャワ条約機構軍は68年8月20日深夜にプラハに侵攻。抵抗した多数の市民が犠牲になり、後に東欧革命が起きた89年にはソ連も当時の侵攻を誤りと認めた。
今回の調査で「プラハの春」へのロシア国内の否定的な見方は10年前の同じ調査より18ポイント伸びた。「ソ連支配の体制に対する反乱」や「民主改革の試み」と肯定的に見る回答は28%で、侵攻を「正しくなかった」としたのは19%。最初の質問で「プラハの春」について「何も知らない」と答えた人は10年前より9ポイント減って46%だった。
ロシア国内では、2014年のクリミア半島併合を機にプーチン大統領の支持率が急上昇した。プーチン氏は、ウクライナなど旧ソ連国で起きる民主化運動や国内の反政権運動をしばしば「西側諸国の干渉」と批判し、世論でも欧米諸国のロシア批判に対する反発が強まっている。(モスクワ=喜田尚)