イタリアで、国民に携帯が義務づけられている身分証を申請する際、2人の「親」を記入する欄について、サルビーニ副首相は「父親」「母親」と性別で分ける表記を復活させると述べた。これに対し、同性婚など家族の多様性を訴える市民団体などが「時代遅れ」と批判。サルビーニ氏がツイッターで応酬するなど、物議をかもしている。
イタリアでは身分証を申請する際の親の欄について、近年は性別の区別なく2人の親の名前を書くだけでよくなっている。
これに対し、サルビーニ氏は、9日に公表されたカトリック系ニュースサイトのインタビューで、父親と母親の性別は分けるべきだとの持論を展開。「男女の間で築かれた自然な家族を守るため、全力を尽くす」とした。イタリア国内では禁止されている代理母出産については「絶対にノーだ」と述べた。
イタリアの一部の州では、同性カップルが裁判所に申し立てることで自治体の長が家族と認め、代理母出産などで生まれた子がカップルの子どもとして登録される。このため、サルビーニ氏の方針に「多様な形の家族が存在している事実を消そうとしている」といった批判の声が市民団体などから上がった。
一方、サルビーニ氏は「父親、母親の概念を守ることが『原始的』というなら、喜んで原始人になる」とツイートした。(ローマ=河原田慎一)