(25日、川崎1―0仙台)
最新の試合結果はこちら
一見すると幸運に思えるかもしれない、ゴールシーン。川崎の選手たちにとっては、必然の得点だった。
後半10分、仙台のGKが蹴り出した球の落下点に、左サイドバックの登里が猛然と走りこんだ。仙台の選手に競り勝ち、頭で前方へ大きくはじき返す。仙台の選手がクリアしそこねた球が、攻め残っていたMF中村の元へ。落ち着いてGKの動きを見ながら、ゴールネットへ突き刺した。
ショートパスを多用してボールの保持率で相手を上回り、試合の主導権を握るのが川崎のスタイル。保持率を高めることが成否の鍵を握るだけに、練習では、いったん失った球を、どれだけ早く奪い返すかにも多くの時間を割いている。「GKが蹴りだそうとした瞬間から、パスカットを狙っていた」と登里。果敢に仕掛けた競り合いは、日頃から培われた守備意識のたまものだ。
「この夏の暑さが、僕らのサッカーの精度を高めてくれている側面もある」と語るのはDF谷口。体力の消耗が激しい気候の中、選手たちには、無駄な体力を使いたくない心理が働く。その分、ボールが奪えそうな局面を見極める力が研ぎ澄まされるのだという。
暑さの影響で前半と後半に1度ずつの飲み水タイムが設けられた過酷な試合を、今季10試合目の無失点で締めくくった川崎。歴史的な猛暑となった7、8月のリーグ戦を、6勝1敗1分けで切り抜けた。リーグ最少失点の堅い守備が、夏バテ知らずのチームを支えている。(清水寿之)