西日本豪雨による土砂崩れは、山奥の3世帯だけの集落へも容赦なく襲いかかった。愛媛県西予(せいよ)市・深山(みやま)集落の兵頭吉徳(よしのり)さん(65)は、ひとり残って土砂の撤去を続けている。「明治の先祖が手掘りでつくった土地やけん、離れるわけにはいかんでしょう」 野村ダムの緊急放流後に肱(ひじ)川があふれ、浸水被害がおきた西予市野村町地区の中心から南へ車で約30分。山道の果てに集落はある。 炎天下に1人。「次の災害に備えて水のはけ口をつくらんと」。小型重機を操り、見渡す限りの土砂をすくう。気が遠くなる。 ボランティアの申し出は「ここまで通ってもらうのは大変ですし、えらい目に遭ったのは僕だけじゃないから」と考えて断った。 7月7日早朝、町中のアルバイト先へ向かった。雨はますます激しく、町中は浸水して停電。集落への道も閉ざされた。入院していた父・義雄さん(86)が長患いの末に亡くなったことも重なり、通夜や告別式でてんてこ舞いだった。 一部開通後、牛小屋での仮暮らしから自宅暮らしを再開したのは1週間後。改めて集落を見てまわった。 あきたこまちの青々とした若苗… |
65歳、炎天下にひとり 豪雨被害、再起願い土砂撤去
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