東京都台東区のマンションで昨年5月、住人の高校3年の女子生徒(当時17)に殺害を頼まれて実行し、マンションに放火をしたとして、嘱託殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた少年(19)に対する裁判員裁判の初公判が29日、東京地裁であった。少年は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側の冒頭陳述などによると、少年は昨年5月3日夜、交際相手だった女子生徒から妊娠を伝えられ、殺害を頼まれたため、首を絞め、窒息死させた。いったん現場を離れた後、翌朝にベランダから侵入し、焼死したように見せかけるため、遺体にかけた布団に火をつけ、部屋の一部を焼いたとされる。検察側は「殺害や放火の態様や結果から、刑罰以外が相当という特段の事情はない」と述べた。
一方、弁護側は冒頭陳述で、少年が女子生徒から妊娠を打ち明けられ、「もう耐えられない」「死なせて」と頼まれたと主張。「(少年は)突然、経験のないことに直面した。殺してほしいと頼まれ、その重みに耐えられなかったから起きた事件だ」と述べ、刑罰ではなく、保護処分にすべきだと訴えた。(北沢拓也)