マティス米国防長官は28日の記者会見で、6月の米朝首脳会談後に中止した米韓軍事演習について、「我々にはこれ以上中止する計画はない」と述べ、将来的に演習を再開する可能性に含みを持たせた。米朝交渉が難航していることを受け、北朝鮮を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
マティス氏は記者会見で、「シンガポールでの米朝首脳会談で生まれた誠意として、我々はいくつかの大きな軍事演習を中止する措置をとった。現時点でこれ以上の軍事演習を中止する計画はない」と述べた。さらに、「(ほかの)軍事演習を続ける。現時点では軍事演習の計画を変更していない」とも語った。
米国防総省は6月の米朝首脳会談後、米韓軍事演習「フリーダムガーディアン」など三つの米韓演習を中止。国防総省は当時、「(米国の)さらなる決断は、北朝鮮が生産的な交渉を続けるかどうかにかかっている」という声明を発表している。
米朝交渉をめぐっては、米側は北朝鮮に対し、核関連施設の完全な申告などを要求しているのに対し、北朝鮮は朝鮮戦争の終結宣言の実現を要求し、協議が難航している。
これに関連し、米ワシントン・ポスト紙(電子版)は27日、複数の米政府当局者の話として、マティス氏とボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、朝鮮戦争の終結宣言に反対していると伝えた。マティス氏は朝鮮戦争の終結宣言は米韓両軍の即応態勢に悪影響を及ぼすと考えているという。
マティス氏は28日の記者会見で、自身の朝鮮戦争の終結宣言に対する考え方を問われると、「国務省が交渉に責任を持ち、私は彼らに任せている」と述べ、明言を避けた。(ワシントン=園田耕司)