アジア大会で公開競技に初採用されたeスポーツは1日、最終日を迎え、日本代表2選手が登場。人気サッカーゲーム「ウイニングイレブン」でアジアの強豪と向かい合った。
代表の一人、相原翼さん(18)はネットで学ぶ通信制「N高」(本校・沖縄県うるま市)の3年生。「この学校にいなかったら、今の自分はない」という。
2016年4月、「ニコニコ動画」を運営するドワンゴを統合した出版大手のカドカワが開校。インターネットを駆使して時間を効率的に使い、高卒資格に必要な学習時間を最小限にする代わりに、空き時間に各分野のプロから自分の好きなことを学べるのが特徴だ。暗記型教育からの転換をめざし「スマホネイティブ世代」に適した教育のあり方を模索している。
1期生の相原さんは「ウイニングイレブンが強くなりたい」と、九つある部活のうちサッカー部に所属。同部ではJリーグ鹿島や日本代表でDFとして活躍した秋田豊さん(48)が特別顧問を務め、月に1回ほど、画面越しに実際のサッカーの戦術との類似点や心理状態などを助言する。部員からのリクエストで、実際に秋田さんとフットサルをする機会もあった。
大会前の8月23日、相原さんは部員と壮行試合をした。画面越しに観戦した秋田さんは「翼君は前はイケイケのサッカーをしていたけど、後ろを固めて少ない手数で攻めるようになった。Jリーグが開幕した1993年の鹿島のサッカーを見ているみたい。あの時もアルシンドとジーコと黒崎さんだけで攻めていた。懐かしい」。相原さんは「カウンターを仕掛ける意識が強くなった。アジア大会用には複数の陣形を考えています」と応じた。
小3の時に父が買ったウイニングイレブンで楽しさを知った東京都出身の相原さん。大会出場権をかけた東アジア予選を勝ち抜いてから、ふさぎ込みがちだった性格は自他ともに驚くほど変わったという。秋田さんが「本当によくしゃべるようになった」と言えば、本人も「殻がやぶけたと思う」と笑う。
N高の生徒は7月現在で約6800人。元々通っていた学校になじめず不登校だった生徒がいれば、「自分の選択肢を広げたい」と偏差値の高い有名高から転校する生徒も。フィギュアスケートの紀平梨花選手のほか、国際情報オリンピックの日本代表や囲碁のプロ棋士らも在校中という。(野村周平)