ツイッターで裁判の当事者の感情を傷つけたとして東京高裁が懲戒を申し立てた同高裁の岡口基一裁判官(52)について、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は11日、「分限裁判」を開いた。非公開だったが、岡口氏側は「懲戒権を発動すれば『表現の自由』を侵害し、裁判官の独立をも脅かす」などと反論したという。ツイッターをめぐり、裁判官が分限裁判にかけられるのは初めてだ。
裁判官のツイッター、どこまでOK? 最高裁が判断へ
岡口裁判官「高裁長官にツイッターやめるよう脅された」
「長官はものすごい剣幕で…びびっちゃう」岡口判事会見
岡口氏は2008年からツイッターを始め、判例や司法関連のニュースなどを勤務時間外に1日に20回程度、投稿してきたという。実名を出してツイートしている裁判官として注目される一方、16年6月には縄で縛られた上半身裸の男性の写真などを投稿したとして高裁から厳重注意を受け、今年3月にも、東京都内の女性が殺害された事件の裁判に関する投稿で厳重注意を受けていた。
都内で会見した岡口氏や弁護団によると、11日は最高裁の会議室で分限裁判の審問手続きが行われた。最高裁の15人の裁判官のうち、高裁長官時代に岡口氏を厳重注意した戸倉三郎裁判官をのぞく14人と、岡口氏側が対面する形で進められたという。
分限裁判では、戒告か1万円以下の過料にすべきかどうかを審理する。最高裁は今後、高裁と岡口氏側から28日までに提出される追加の主張や証拠も踏まえ、判断を示す予定だ。
今回、問題となっているのは今年5月のツイート。拾われた犬の所有権が、元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた裁判を取り上げたネット上の記事のリンクとあわせて「公園に放置された犬を保護したら、元の飼い主が名乗り出て『返して下さい』 え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しながら…… 裁判の結果は……」と投稿した。
高裁は、この投稿について、訴訟で原告だった元の飼い主から抗議が寄せられたとし、「裁判官でありながら判決内容を確認せず、揶揄(やゆ)するような表現を用いて当事者を一方的に批判し、傷つけた」と判断。7月に懲戒を申し立てた。
これに対し、岡口氏側は最高裁…