イスラエルとパレスチナが和平の道を模索したオスロ合意は1993年9月13日のことだった。あれからすでに四半世紀。イスラエルによる入植地拡大が和平を遠のかせ、イスラエル寄りを鮮明にするトランプ米政権の政策で混迷がさらに深まっている。(エルサレム=渡辺丘)
エルサレム中心部から南に10キロ弱。キリスト生誕地とされるヨルダン川西岸ベツレヘムの手前にハルホマ入植地がある。丘の斜面を真新しく白い建物が埋め尽くしている。オスロ合意後に建設が承認された最大の入植地だ。
イスラエルは67年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸や東エルサレムなどを占領。ハルホマを含む約64平方キロメートルを西岸からエルサレムに編入し、「首都」を拡大した。
「エルサレム中心部よりはるかに安く、人気を集め、人口は増え続けている」。入植地の公共施設で責任者を務めるアビ・レゲブさん(52)は言う。住民は3万人を超え、学校、スーパーやシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)もある。
拡大を続ける入植地
93年のオスロ合意で、イスラエルが占領したガザとヨルダン川西岸にパレスチナ国家を樹立し、イスラエルとの「2国家共存」へ道が開かれた。だが、合意を決断したイスラエルのラビン首相が95年、ユダヤ教過激派青年に暗殺され、和平の機運は急速にしぼんだ。
翌96年に誕生したネタニヤフ…