米国務省高官は２４日、パレスチナ自治政府に向けた２億ドル（約２２２億円）の経済支援を撤回し、「他の地域の優先度の高い計画に充てる」と表明した。中東和平交渉に向けて圧力を強めた形だ。

高官によると、トランプ大統領の指示により、経済支援が米国の国益に合致するか見直しを進めてきたという。イスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配していることを問題視し、支援撤回の決定につながったという。

トランプ政権は、今回の撤回以外にも、国連パレスチナ難民救済事業機関（ＵＮＲＷＡ）への拠出金を凍結したほか、エルサレムに米大使館を移転させるなどして、イスラエル寄りの姿勢を鮮明にしている。

パレスチナのゾムロット駐米大使は２４日の声明で、「エルサレム、ＵＮＲＷＡの件に続き、（米国が）ネタニヤフ（イスラエル首相）の反平和路線に応じている証しだ」と批判。「人道支援や開発援助を政治的な脅しの武器にしても、うまくいかない」と訴えた。（ワシントン＝杉山正）