ショパンが作曲していた19世紀前半から半ばまでに作られたピアノで演奏を競う「第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール」がポーランドのワルシャワで開かれ、13日、オランダ在住の川口成彦(なるひこ)さん(29)が2位に選ばれた。もう1人の2位受賞者を含めて、他の1~3位の入賞者3人はポーランド人が占めた。
川口さんは盛岡市生まれ。東京芸大院とオランダ・アムステルダム音楽院を修了。同コンクールは、ショパン国際ピアノコンクールと同じフレデリック・ショパン研究所が主催。ピリオド楽器は古楽器ともいい、過去のある時代に使われていた楽器を指す。
同コンクールは18~35歳が対象で、DVD録音による審査を経た9カ国30人が参加。6人がオーケストラと共演する最終選考に進んだ。
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ショパン国際ピリオド楽器コンクールで2位になった川口成彦さんの話 今はまだ夢を見ているよう。記念すべき第1回コンクールで受賞できたのは光栄だし、(最終選考の演奏時に)ずっと夢だった(古楽専門の)「18世紀オーケストラ」と共演できたのはすばらしい体験でした。
本番では緊張感がありましたが、いい音楽ができたと思います。古楽器と出合ったのは大学生だった20歳の時、古楽器でハイドンを弾いたのが初めです。それまで遠く感じていた古典派の音楽と距離が近くなり、その後、(ショパンなどの)ロマン派の音楽も当時の楽器で弾くようになりました。
当時のピアノは現代の楽器と音そのものが違い、異なる繊細さを持っているので、ショパンの独特な色や心模様を描ききることができます。
今のピアノが濾過(ろか)された水だとすれば、当時のピアノは砂や葉っぱが交じり、少し濁った川の水のようなもの。作品のキャラクターをよりナチュラルに表現できると感じています。(安部美香子)