夜明け前の住宅街の交番で、銃声が響いた。仙台市で警察官ら2人が死亡した事件。付近には学校もあり、警察官が規制線を張って警戒するそばを子どもたちが登校する姿も見られた。「こんな恐ろしいことは初めて」。住民らは不安をつのらせた。
交番で警官刺殺、容疑者は別の警官に撃たれ死亡 仙台
死亡した清野巡査長、「おおらかで優しい」元高校球児
19日未明、現場から約70メートル離れたケーキ店経営の男性(71)は耳慣れない音を聞いた。「寝付けずにうとうとしていると、3発、『パン、パン、パン』と、けっこう大きな音がした」。夜が明けて、事件の銃声だったと知り、驚いた。
事件は午前4時ごろに発生。仙台市宮城野区の宮城県警仙台東署の東仙台交番で清野(せいの)裕彰巡査長(33)が若い男に刺されて死亡。別の男性巡査部長が男に3発発砲し、男も死亡した。
男性は「近くに交番があるから安全だと思っていた。こんな事件が起こるとは」と話した。
現場周辺の道路は一時、規制線が張られ、ものものしい雰囲気に包まれた。近くに住む60代女性は午前4時半ごろ、現場に集まるパトカーの音で眠りを破られた。様子を知ろうと、門のそばにいた警察官に声をかけると「外に出ないように」と指示されたという。80代男性も警察官から「危ないから、家から出ないで鍵をかけて」と言われ、何が起きたかはニュースで知ったという。「亡くなったと聞いて驚いている」
交番は仙台市立東仙台中学校の北隣にあり、周辺には小学校もある住宅街。事件後に通行が規制された道路を避けながら登校する子どもたちの姿が見られた。保護者も不安を募らせた。小学生の娘の登校に付き添った40代女性は「こんな恐ろしいことが起きるのは初めて」と話した。同中によると、通常通り授業は行うが、登校時は教員が生徒を誘導して安全に配慮したという。
交番勤務の警察官は住民に好印象を持たれていた。近くに住む獣医師の熊谷正志さん(60)は「以前、トラブルがあって交番に電話したとき、すぐに警官が駆けつけてくれ、その後も何度も家を訪れて『どうですか』と気遣ってくれたので安心できた」と振り返った。