勝つのは2年連続覇者か日本最速か。陸上の全日本実業団対抗選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)で、2016、17年優勝の山県亮太(セイコー)と、社会人1年目で日本記録9秒98を持つ桐生祥秀(日本生命)が、23日の男子100メートルに出場する。日本記録更新の期待がかかる。
銅の山県、修正力見せつけた激走 アジア大会陸上100
山県は今季好調を保てている。6月の日本選手権を制すと、8月のジャカルタ・アジア大会では自己記録に並ぶ10秒00で銅メダルを獲得した。そして今大会とは相性もいい。16年は10秒03、昨年は日本歴代2位タイの10秒00と、2年連続で自己記録を更新した。桐生とは激しい競り合いが予想されるが、「桐生君は中盤の加速で一気に他の選手を突き放す強さがある。勝てるように全力を尽くしたい」と冷静に話した。
しっかり準備もしてきた。アジア大会では、9秒92で金の蘇炳添(中)、銀のT・オグノデ(カタール)との体の大きさの差を痛感した。バランス良く鍛え全体的に体を大きくする必要性を感じたといい、今大会に向けても「負荷をたくさんかけてトレーニングしてきた」と説明する。
一方で桐生はタイトル奪取と記録も狙う。今季最高は7月にスイスの大会で記録した10秒10。昨年9月の9秒98を含め、13年から5年連続で10秒0台は出してきた自負もあるだけに「最低でもシーズンベストは出さないといけない。やっぱり10秒0台、9秒台で終わりたい」と力強く話した。
そのために調整方法も工夫した。「バネをためるような」イメージと、直近の5日ほどは練習は軽めで切り上げ、積極的に体を休めてきたという。
山県には今季、ゴールデングランプリ大阪、日本選手権でいずれも先着を許している。「絶好調の山県さんとしっかり走って勝負したい」と雪辱を誓った。
男子100メートルは23日午前9時45分から予選が始まり、午後0時20分から準決勝、午後2時50分から決勝がある。(遠田寛生)