東京・日本橋で老舗(しにせ)デパートのリニューアルが続いている。高島屋は日本橋店の隣接地に新館をつくり、一帯を「日本橋高島屋S.C.(ショッピングセンター)」として25日開業した。湾岸エリアで増える若い家族の取り込みを図る。ライバルの三越伊勢丹ホールディングス(HD)も日本橋三越のリニューアルを進める。
高島屋は日本橋店の周辺エリアを、三井不動産などと投資額約160億円で再開発した。目玉の新館(地下1階~地上7階)には111のテナントが入る。衣料品店や飲食店などのほか、ヨガ教室、茶道教室がある店もある。モノを買うだけでなく、体験型消費「コト消費」に関心がある若い世代に合わせた店づくりだ。
日本橋がある東京都中央区や隣接する江東区は、タワーマンション建設が相次ぎ人口が急増。9月時点で中央区(約16万人)は2000年の2倍以上、江東区(約51万人)は約1・4倍に増えた。老舗のイメージが強い日本橋も若い買い物客が増えているといい、新店で流れを加速させる。
日本橋店の年間売上高は高島屋の中で2番目に大きい。新館はテナントに貸し、安定した賃料収益の確保を狙う。木本茂社長は「百貨店を取り巻く状況は決して平坦(へいたん)ではない」とし、流行を反映したテナントと百貨店の組み合わせについて「時代のニーズに応えた集大成」と語る。
三越伊勢丹HDも、日本橋三越で今後3年間、150億円をかけて改装を進める。10月24日には一部が新装オープンする予定だ。こちらは客にスタッフが付き添うサービスを充実させるなど、富裕層の取り込みを強化する。浅賀誠店長は「幅広い層に経営資源を投入するのは違う(と判断した)。もともと富裕層のお客様が多く、おもてなしの強みを進化させる」と話している。(高橋末菜)