沖縄県知事選が30日投開票され、前自由党衆院議員の玉城(たまき)デニー氏(58)が、前宜野湾市長の佐喜真(さきま)淳(あつし)氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=ら3氏を破り、初当選した。最大の争点だった米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に、玉城氏は「反対」を主張してきた。県民は翁長雄志(たけし)知事が当選した前回知事選に続いて、辺野古移設にノーを突きつけた形となった。
移設計画が浮上してから6回目の知事選。8月に急逝した翁長氏は「辺野古移設阻止」を掲げ、安倍政権と対立し続けてきた。選挙戦では、その路線を維持するか、転換するかも問われた。
玉城氏は、翁長氏を支えた共産、社民両党や、労組、一部の企業人らによる「オール沖縄」勢力が後継として擁立した。翁長氏の家族も集会でマイクを握るなどして、辺野古阻止の遺志を継ぐことを訴え、沖縄に基地が集中し続ける現状の理不尽さを強調した。
玉城氏を支援する立憲民主党の枝野幸男代表や自由党の小沢一郎代表ら野党幹部も応援に訪れた。だが、玉城氏と街頭でほとんど並ばないことで党派色を抑え、無党派層も取り込んだ。
一方、佐喜真氏は安倍政権の全面支援を受け、「対立から対話へ」をスローガンに政権との関係改善を主張。県民に根強い「辺野古反対」を意識して、移設の賛否には一切言及せず、生活支援や経済振興を前面に押し出した。菅義偉官房長官ら政府・与党幹部も続々と沖縄に入り、政権の支援を印象づけた。だが、辺野古移設を強引に推し進めてきた安倍政権への反発をかわせなかった。
辺野古では埋め立て予定区域の一部で護岸がつながり、政府は8月にも土砂投入を始める予定だった。しかし県は8月末に埋め立て承認を撤回し、工事は止まっている。政府は今後、法的な対抗措置を執り、裁判所に認められれば埋め立てを始める構えだ。