東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が虐待を受けて死亡したとされる事件について、厚生労働省の専門委員会は3日、検証結果に関する報告書を取りまとめた。児童相談所(児相)が家庭環境の変化などに伴う虐待リスクの高まりに適切に対応できず、関係機関の引き継ぎも不十分だったことなど問題点を列挙。委員長の山縣文治関西大教授は、「適切に対応すれば、亡くなる可能性は低くなったはずだ」と指摘した。
結愛ちゃん、やせた体重を自ら記録 致死罪で両親を起訴
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大学教授や医師らによる委員会は、児相や自治体の職員に聞き取りや書面で調査を実施。結愛ちゃんが香川県から東京都に転居した際の都県の引き継ぎのあり方などについて検証した。
報告書によると、香川の児相は、医療機関から結愛ちゃんに虐待を疑うけががあるとの情報提供を受けながら、「(けがの)原因や受傷時期が特定できない」と保護しようとしなかった。一時保護の判断基準となる情報を記入する「アセスメントシート」も作成していなかった。香川から東京への引き継ぎは、対面ではなく電話と資料で行った。その資料も「要点が不明確」でリスク判断には不十分なものだった。
3日に記者会見した山縣委員長は、「当然作るべきアセスメントシートを作っていないことにあぜんとした。今回の事案は危険な要素がいくつもあったのに、その部分が判断に反映されなかった」と語った。職員が的確な対応を取れなかった理由については、「地元での検証に期待したい」と述べるにとどめた。(浜田知宏)
「重いケース、軽く扱わないように」識者指摘
「意識が十分でなかったかもしれない」。厚生労働省の専門委員会の報告書で児童相談所が一時保護などの判断に必要な記録を残していなかったことを指摘され、香川県子ども家庭課の増本一浩課長はそう話した。「人員不足も理由の一つ」とも述べた。
報告書は、香川の児相の対応を…