難病ミトコンドリア病の患者にアミノ酸の一種のアルギニンを長期間投与することで、発作や病状の進行を抑える効果が得られることを確認したと、久留米大が2日、発表した。全国15カ所の医療機関で9年間にわたって患者の経過を調べた。治療薬として保険適用をめざす。
ミトコンドリア病は、細胞内でエネルギーをつくるミトコンドリアの異常で起こる遺伝病。その中で患者が最も多く、頭痛や嘔吐(おうと)、手足のけいれんなど脳卒中に似た症状が見られる「MELAS(メラス)」というタイプを調べた。主に子どもで発症し、発作を繰り返しながら障害が重くなる。患者は国内に約1千人。有効な治療法は見つかっていない。
アルギニンには、収縮して血流が滞っている脳の血管を拡張する働きが知られている。同大の古賀靖敏教授(小児科学)らは、注射や内服でアルギニンをとり続けたMELAS患者23人の経過を2008年から追跡。8割の患者が9年以上生存することがわかり、延命効果を確かめた。病状の悪化も抑えられたという。
古賀教授は「アルギニンの有効性を確認できたのは世界初。薬として早く患者に届けたい」と話している。(福島慎吾)