厚生労働省は21日、2017年度に医療機関に支払われた医療費の速報値「概算医療費」を発表した。前年度より9500億円増え、42兆2千億円となり、過去最高を記録。国民1人あたりの費用も、8千円増の33万3千円で最高となった。いずれも2年ぶりの増加となる。
概算医療費は、医療保険給付費と公費、患者の自己負担分の合計。労災や全額自己負担となる治療費は含まない。約1年後に確定値として公表する「国民医療費」の約98%に相当する。
費用増加の主な要因は、75歳以上の後期高齢者の医療費が伸びたこと。75歳以上の費用は前年度から6800億円増の16兆円で、全体の増加分の7割超を占めた。3年前と比較すると1兆5千億円増えており、国民1人あたりで比較しても75歳未満の22万1千円に対し、75歳以上は94万2千円と4倍以上の金額となる。厚労省の担当者は「高齢化や医療の高度化を要因とした増加傾向は、しばらく続く」とみている。
また、厚労省は同日、16年度の国民医療費も公表した。保険診療の対象となる治療費の推計で、健康診断や予防接種などの費用は含まない。
15年度から2263億円減り、42兆1381億円で、国民1人あたりでも1300円減の33万2千円だった。高額な医薬品の価格引き下げなどで10年ぶりの減少となった。
年齢別では、65歳以上が25兆1584億円で全体の59・7%を占めた。そのうち75歳以上が15兆3796億円で、前年度から2167億円増加した。(西村圭史)