名古屋城の木造新天守にエレベーター(EV)設置を目指す障害者らが、EVを設置しないとする名古屋市に、城の木造化関連予算を支出させないよう求める住民監査請求を準備していることがわかった。「障害者や高齢者などの移動困難者を排除する事業への公金支出は不当だ」と訴える。
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住民監査請求を予定しているのは、障害者団体などでつくる「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」のメンバーら。「史実に忠実に復元する」としてEVを設置しない名古屋市の方針は「階段を自ら昇降できない者だけを排除、差別するものだ」として、「法の下の平等」を定めた憲法14条や障害者差別解消法などに違反していると主張。木造新天守に使う木材を調達する費用として、市が施工業者の竹中工務店に支出する94億5540万円を差し止めるよう求めるという。
実行委はまた、市がEVの代替案として挙げる移動補助ロボットなどの「新技術」について、「実用性や安全性が確認されておらず、障害者差別解消法が禁止する『障害を理由とした不当な差別的取り扱い』にあたる」と指摘する。辻直哉事務局長(46)は「公金を使う事業なのに、一部の人が使えないのはおかしい。河村たかし市長とは話が進まないので、こういう形を取らざるを得ない」と話している。(北上田剛)
■「名古屋市の対応は人権侵害」…