今年の成人式を前に突然店を閉じた着物店「はれのひ」(横浜市)の元社長で、決算を粉飾するなどして銀行から融資をだまし取ったとして詐欺罪に問われた篠崎洋一郎被告(56)の初公判が5日、横浜地裁(渡辺英敬裁判長)であった。篠崎被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
起訴状などによると、篠崎被告は、2015年9月期決算で、債務超過を隠したうその内容の決算報告書などを銀行に提出。新規出店にともなう運転資金などの名目で、16年9月に融資金3500万円をだまし取った。さらに、別の銀行に対しても、15年9月期決算で債務超過を隠すなどして融資を申請し、16年9月に約3千万円をだまし取ったとされる。
検察側は冒頭陳述で、はれのひは次々と新店舗を出店したが、店を増やすほど営業損失は増えていった▽会社のキャッシュカードは全て被告が管理し、資金繰りを把握していた▽15年8月ごろまでには支払いが滞り、自転車操業状態だった――などと指摘。「経営破綻(はたん)を顧客に隠し、多数の新成人が成人式当日に振り袖を着ることができなくなった」と述べた。(飯塚直人)