東欧ルーマニアで6、7の両日、家族を「男女」の結びつきと定義する憲法改正案の是非を問う国民投票が行われ、投票率が21%にとどまって無効となった。投票の大多数が賛成だったが、有効となって法的拘束力が生じる投票率30%に達しなかった。性的少数派(LGBT)の権利を侵害する改正になるため、反対派がボイコットを呼びかけ、影響したとみられる。
ルーマニアの中央選挙管理委員会によると、開票率98%の段階で、総投票のうち賛成が91・6%、反対が6・4%だった。賛成票は約346万だった。
ルーマニアでは、すでに民法で同性婚が禁止されている。キリスト教会や保守的な家族観を持つ層が中心になり、運動を行って憲法改正の国民投票にこぎつけた。ドラグネア下院議長率いる与党・社会民主党は、これを支持固めに利用しようとした形だったが、多くの国民が投票に足を運ばなかったことで事実上の「ノー」を突きつけられた。
憲法改正の反対派は、LGBTに対する差別が助長され、人権重視といった欧州の価値観に反すると主張していた。ルーマニアは、来年上半期に欧州連合(EU)議長国を務める。(サラエボ=吉武祐)