英国中部バーミンガムで開かれている与党・保守党の党大会で2日、次期党首と首相の座を狙うジョンソン前外相が演説した。欧州連合(EU)からの英国の離脱をめぐり、7月にメイ政権が打ち出したEUとの関係を重視する離脱方針について、その方針では離脱後もEUの支配から抜け出すことにならないと強調し、「詐欺だ」と批判した。
英外相も辞任 EU離脱「ソフト路線」の首相に反発
ジョンソン氏は、政府方針では離脱後も英国はEUのルールに縛られ、EU以外の国と自由な貿易協定を結ぶことが難しくなると主張。英国がルールを変更したり抵抗したりする力も失われ、「民主的ではない」と訴えた。そのうえで「今が(政府方針を)放棄する時だ」と呼びかけると、会場の1千人超が沸いた。
ジョンソン氏はEUからの強硬離脱派の「顔」だ。域内で規制をそろえ、関税なしで取引できるEUの単一市場や関税同盟から英国が抜け出し、EU以外の国と自由な取引を可能にする貿易協定を結ぶことを主張している。今回の党大会前にも、EUとは自由貿易協定を結ぶべきだとする離脱方針の私案を英紙で発表し、メイ氏への対抗姿勢を鮮明にした。
党大会では、他の強硬派やEU残留派の双方からも、公然とメイ政権の離脱方針に対する批判が噴出した。だがどの勢力も、党内で多数派を形成して確実に党首交代に持ち込める力はなく、メイ氏が解散総選挙に打って出れば、多くの議員が、支持率で拮抗(きっこう)する最大野党・労働党に議席を奪われる危機に直面する。このため、保守党議員の大半はメイ氏の続投を支持する姿勢を保っている。(バーミンガム=下司佳代子)