名古屋城天守木造化をめぐり、名古屋市の河村たかし市長は15日、今月中の国の許可取得を断念した。文化庁が今月中に開く文化審議会に、市は申請書類を提出できなかった。河村市長は2022年末の新天守完成を「死守する」としているが、具体的なスケジュールを示せず、見直しを迫られている。
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市は今月開かれる文化審議会で許可を得るため、7月中に申請を終える予定だった。だが市の有識者会議・石垣部会から木造化計画の了承を得られず、いまだに申請できずにいる。
河村市長はこれまで「(国の許可を)10月中に間に合わせる」と主張してきたが、15日の記者会見で「全力で取り組んだが至らなかった」と認めた。理由について「よう分からん。わしだったら毎晩(石垣部会委員の)家に行って相談する」などと担当職員への不満ものぞかせ、今後は業界団体「文化財石垣保存技術協議会」(事務局・兵庫県姫路市)に助言を求めて石垣部会との関係改善を図る方針を示した。
市によると、次回の文化審議会は来年5月にも開かれる予定だが、河村市長は次回に許可を得られるかについても「それは分かりません」と述べ、22年末の新天守完成は厳しさを増している。(関謙次)