高校野球の秋季東北地区大会は17日、秋田市のこまちスタジアムで準決勝2試合があり、盛岡大付(岩手1位)は古川(宮城2位)を10―0(六回コールド)で下し、八戸学院光星(青森1位)は花巻東(岩手2位)に7―3で打ち勝った。勝った2校は来春の選抜大会出場が濃厚になった。
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三回に5失点。3季連続の甲子園出場を目指す花巻東は、序盤から劣勢を強いられた。ただ、この回の途中に中堅から救援した中森至(2年)は、下を向かなかった。「ここまで逆転で勝ってきている。5回で5点差までならいける」
初戦となった2回戦は聖光学院(福島1位)とぶつかり、最大7点差をひっくり返した。準々決勝の仙台育英(宮城1位)戦は5点差を追いつき、延長十回のサヨナラ勝ち。その中心に、中森がいた。
佐々木洋監督が「ゲームを壊さないし、気持ちを前面に出して投げてくれる」と信頼を寄せる背番号8は、いずれの試合も登板。粘り強い投球を見せて、逆転勝ちに貢献した。
「(菊池)雄星さん(西武)や大谷(翔平)さん(エンゼルス)のような選手はいない。うちは組織力で勝つチーム」と中森は言う。投球以外にも、2番打者としてはつなぎに徹し、ベンチでは率先して声をからしてきた。167センチと小柄な左腕が、諦めない雰囲気を支えてきた。
この試合は、光星打線の圧力に耐えきれなかった。四回以降、毎回走者を背負い、被安打は10を数えた。2失点と踏ん張ったが、味方の反撃も及ばず、4点差で敗れた。
来春の選抜大会の東北の一般選考枠は2。出場は厳しい状況となった。中森は、目を真っ赤に腫らして誓った。「魂込めたボールは投げられたけど、まだまだ打ち返される。冬に直球も変化球ももっと磨いて、次はチームを甲子園に連れて行ける投球がしたい」(小俣勇貴)