ロシアのプーチン大統領は18日、北方四島をめぐって日ロが進める共同経済活動について「いい案だが、本当に少しずつしか実現していない」と述べ、成果に懐疑的な見方を示した。従来の方法による領土交渉についても、「70年も足踏みが続いている」と強調。先に平和条約を結ぶことで両国の信頼醸成を進めるべきだという自らの提案を繰り返した。
ロシア南部ソチで同日まで開かれた国際有識者会議「バルダイ・クラブ討論会」に出席し、日ロの信頼関係をめぐる質問に答えた。
プーチン氏は9月に安倍晋三首相も出席した極東ウラジオストクでの経済フォーラムで行った「年内に前提条件なしで平和条約を結ぶべきだ」との提案について、「私が言っているのは、信頼のレベルを上げる必要があるということだ」と強調した。「それは島の問題を解決しないということではない」とし、条約締結後も領土問題をめぐる対話は続ける考えを示した。
プーチン氏によると、安倍首相とはウラジオストクでの提案後に非公式な形で議論したという。プーチン氏は、安倍首相が「領土問題を解決し、平和条約を結ぶ」との従来の方針を繰り返したことを紹介し、「それでもいいが、終わりが見えないではないか」と話した。
プーチン氏は、ロシアは領土交渉に応じることで信頼醸成を進めてきたとし、「(ウクライナ危機で)日本はロシアに対し経済制裁を導入した。それが信頼醸成に役立つと言えるのか」と不快感も示した。(ソチ=喜田尚)