中央省庁が障害者の雇用数を水増ししていた問題で、政府が検討してきた今後の障害者雇用促進策と再発防止策の骨子が19日、関係者への取材でわかった。中央省庁での障害者の法定雇用率を満たすため、統一試験による採用を実施するなどし、2019年末までに約4千人を新たに採用する目標を掲げる。22日に公表する。ただ、これだけ多くの障害者が働き続けられる環境を短期間に整えられるかは不透明だ。
中央省庁をめぐっては、33機関のうち27機関で、昨年6月1日時点の雇用数に計3400人超の水増しがあったことが発覚。平均雇用率は、従来の2・49%から、当時の法定雇用率(2・3%)を大幅に下回る1・19%に半減した。
政府は、各省庁に19年末までに法定雇用率を達成するよう求めている。国の行政機関などの法定雇用率は今年4月に2・5%に引き上げられたため、達成には各省庁で新たに計約4千人を採用することが必要になった。
達成のため、人事院が障害者を対象とした統一の筆記試験を来年に実施し、合格者に対して各省庁が面接などをして採用者を決める仕組みを導入する。この統一試験で約4千人の大半を採用したい考えだ。
一方、障害者団体は今回の大量採用が雇用率を上げるだけの数あわせになり、障害者個人個人の特性に合わない仕事にならないか懸念している。障害の特性は個人ごとに異なり、本人に適した仕事を担当してもらうなど迎える側の配慮が必要なためだ。
こうした声を受け、障害者が職場に定着しやすくするための採用制度も創設する。まずは仕事に慣れてもらうために非常勤職員として採用し、その後に希望者から試験に合格した人を常勤職員に採用する「ステップアップ制度」が柱だ。
このほか、障害者が働きやすい環境をつくるため、職場で障害者に合理的な配慮をすることを求める指針や、障害者の雇用管理のあり方についてまとめたマニュアルも策定する。
再発防止策では、障害者雇用に算入できる人について、身体障害者手帳や知的障害者の療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などの証明書類の確認を徹底するよう各省庁に求める。また、障害者雇用制度への理解を促すため、厚生労働省が各省庁の人事担当者向けに説明会を実施する。(村上晃一)