英国が2016年6月、国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めて、2年以上が経った。あと半年足らずで離脱することは決まっているのに、いまだに離脱の方法を巡って英国とEUはもめつづけている。いったい、何を、なぜもめているのか。
「再投票するなら今だ!」。ロンドンで20日、主催団体の推計で約70万人が集まったデモがあった。EU離脱の是非を問う国民投票の再実施を求めた。
英国とEUは18日までに開かれていたEU首脳会議で、離脱に伴う影響が大きい分野に絞った協定での合意を目指していた。だが、合意は先送りされ、英産業連盟(CBI)は「企業の我慢は限界に近づいている」との声明を出した。
企業が恐れるのは、何の取り決めもないまま、離脱する可能性が高まっていることだ。「合意なし離脱」となれば英・EUの国境で輸出入検査が復活したり、関税がかかったりと、混乱が生じる。
交渉の最大の障害は「北アイルランド国境問題」だ。英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドは同じアイルランド島で隣合わせる。かつて英国統治を望む住民とアイルランドとの統一を求める住民が対立し、多数の犠牲者を出した。この歴史的背景から、英・EUは離脱後もアイルランド島で厳しい国境管理を復活させないことで一致するが、具体的な方法で意見が分かれたままだ。
■移行期間を1年…