中央官庁の多くで明らかになった障害者雇用の水増しが、全国の自治体でも広く行われていた。障害者を支援する団体からは、雇用を奪うだけでなく尊厳をも傷つける、と怒りの声が上がった。
「法令を率先して守るべき県として、不適切な対応だった」。法定数に64人足りず、不足人数が全国最悪だった山形県。朝日新聞の取材に対し、県人事課の高橋正美課長は説明した。医師の診断書を確認せず、職員の自己申告をもとに障害者と算入していたという。
「担当者が前任者から引き継いで算出していた。ガイドラインの理解が不十分なまま漫然と続けていた」。法定雇用が義務付けられた1976年度から続いていたといい、障害者が担う仕事を精査するよう各職場に求め、速やかに求人を出す方針だ。
なぜ、不適切な算入が相次いだのか。各地の担当者の話から浮かぶのは、引き継ぎを漫然と繰り返し、本人への確認なしに診断書などをもとに算入する姿だ。
福島県では雇用する144人中39人が水増しだったと判明。うち約20人は障害者手帳を一度も受け取ったことがないのに、県が勝手に障害者枠に入れていた。
県によると、人事課が各所属からの報告を受け、「障害者一覧」を作り、長年引き継いできた。しかし、今回の調査で自身の名前がリストにあることも、障害者として算入されていることも知らない職員がいることがわかった。
同課の担当者は「経緯は昔のことで理由は分からない」としながら、「体調の悪い職員などを各所属が障害者として勝手に判断し、人事課に報告していた可能性がある。今後は確認を徹底したい」と話した。
群馬県でも障害者手帳を確かめ…