四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を今年9月末までの期限で差し止めた広島高裁決定をめぐり、広島地裁は26日、広島市などの住民4人が期限延長を求めた仮処分の申し立てを却下した。藤沢孝彦裁判長は「巨大噴火による事故のリスクは急迫していない」とした上で、「広島地裁で係争中の運転差し止め訴訟で決着されるべき問題」と判断した。
伊方原発をめぐっては、広島高裁が昨年12月、約130キロ離れた阿蘇山(熊本県)について「約9万年前にあった過去最大規模の巨大噴火が起これば、火砕流の影響を受けないとはいえない」と判断し、今年9月30日まで運転を差し止める仮処分決定を出した。これに対し、住民らは「差し止め期限に理由はない」として、今月1日以降も運転を差し止めるよう広島地裁に仮処分を申請していた。
一方、四電はこの高裁決定を不服として保全異議を申し立て、広島高裁の別の裁判官が先月25日、異議審で決定を取り消していた。「(破局的噴火のリスクを)容認する社会通念があると判断するほかない」などとした上で、破局的噴火以外で火砕流が伊方原発に達する可能性は十分小さいと判断した。
四電は27日、伊方原発3号機の運転を再開する予定。(新谷千布美)