昨年7月の九州北部豪雨で浸水・流失した住宅などから流された写真をきれいにし、持ち主に返す取り組みを続けるボランティア団体がある。福岡県立朝倉高校の写真部員らでつくる「あさくらフォトプロジェクト」。1年余で8千枚ほどを洗浄し、うち約3400枚が持ち主に戻された。
朝倉商工会議所が提供した商工会館の一室。放課後になると毎週3回、エプロン姿の高校生2~9人が集う。「これ、水に漬けても大丈夫?」「ウェットティシュでぬぐってみて」
写真の泥を拭き取ったり、付着物をヘラで丁寧にはがしたり。古い写真はもろくなり、家庭用プリンターで印刷した写真は雑に扱うと画像が消えることもある。状態に合わせた作業を根気よく続けてきた。
昨年7月5日の九州北部豪雨。朝倉市では関連死を含む33人が死亡し、今も2人が行方不明だ。川の氾濫(はんらん)などで全半壊した住宅は1千戸に上る。
1年生だった写真部員の末吉弘聖(こうせい)さん(17)は、友人宅が浸水するなどの被害を目の当たりにした。できることはないかと考えるなかで、東日本大震災の被災地で、津波で流された写真を洗浄する活動が続けられたことを知った。
部員たちに相談すると、みんな…