人口が増え続ける福岡市で「バブル」のような状況が起きている。一方で暮らしに「格差」も現れ始めた。
10月下旬の週末。福岡市西区のJR九大学研都市駅前に新しくできた山ノ鼻古墳公園では、50人ほどの親子連れが遊んでいた。その声に交じって、マンション建設の槌音(つちおと)も聞こえる。
人口が160万人に迫る福岡市は、2017年の市区町村別人口増加数が全国1位。他県からも人を吸い寄せ、成長する。その象徴的な街の一つが、20年前まで田畑だった学研都市だ。九州大学の移転に合わせ、市が1997年に「伊都土地区画整理事業」を始め、急速に整備された。九州最大の繁華街・天神へ電車で30分弱。海も山も近い。
福岡への転職を予定する宮崎県の会社員男性(25)は、市内各地を下見したが、駅を降りて「ここだ」と直感した。重視したのは就学前の長男と次男の子育て環境。自然が豊かで、習い事のため都心部にも通える。駅前には大型スーパーもある。「可能性が広がる街で子育てをしたい」。2千万円台後半の中古3LDKの購入は即決だった。
約130ヘクタールの事業区域内の人口は、97年時点で900人余り。今年8月末には15倍の1万3719人まで増えた。周辺を中心に不動産業を営む五島雄一郎さん(33)は「バブルみたいな状況が起きている」。子育て世帯向けの賃貸物件が空くと、多くがその日のうちに予約が入るという。
市によると、事業区域は人口に占める65歳以上の割合が5%(市全体22%)なのに対し、14歳以下は28%(同13%)と、格段に「若い」。人口増を織り込み、昨年新設された市立西都小も教室の空きがなくなり、今後、校庭にプレハブ教室を建てる。市は23年にも小学校を新設する。
朝夕には道路も激しく混み合う。市交通計画課によると、渋滞が多いとされる今宿大塚交差点の15年の交通量は1日約6万台。05年と比べると1・4倍になった。自治会関係者は「街の機能が追いついていない」と漏らす。
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