大規模な金融緩和で大量の国債を買い続けている日本銀行の総資産の規模が、国内総生産(GDP)を上回った。13日公表の10日時点の総資産は553兆5922億円で、名目GDPの552兆8207億円(4~6月期、年換算)を超えた。日銀の総資産が同じ年のGDPを超えるのは戦後初めて。
総資産のうち国債が約469兆円、上場投資信託(ETF)が約22兆円を占める。黒田東彦(はるひこ)総裁の下で異次元緩和を始める直前の2012年度末の総資産は約164兆円で、この5年余りで約3・4倍まで膨れあがった。日銀は「物価上昇率2%」の目標に向けて国債などの買い入れを続けており、今後も資産はさらに増える。
保有資産の規模があまりに大きいと、緩和を終える「出口」で日銀の財務が悪化する懸念がある。現在日銀が買っている国債の利回りは低いが、政策金利を引き上げる出口の局面では、日銀にお金を預けている民間銀行などへの利払いが増え、日銀は債務超過に陥りかねない。SMBC日興証券の丸山義正氏は「バランスシートの後始末など、出口に向けた様々な立案を進めておく必要がある」と指摘する。(湯地正裕)