制御盤の開発を手がける三笠製作所(愛知県犬山市)が宮崎市のスタートアップ企業Hakobot(ハコボット)と荷物を自動配送するロボットを開発している。人手不足に悩む運送業界で需要が見込まれ、来年2月にも実証実験を始める。
きっかけは2月、三笠の石田繁樹社長が、友人で実業家の堀江貴文氏とイタリアに滞在していた時のことだった。夜道を2人で歩いた際、会話の成り行きで自動配送ロボットを作ることが決まった。最近は、末端の物流拠点から配送先までの「ラストワンマイル」の配達が人手不足で難しくなりつつある。そのことに問題意識を持つ堀江氏が、三笠の技術をいかせるか尋ねたという。三笠は従業員25人の中小企業だが自社技術を活用できるため、石田氏も快諾した。
5月に起業支援を手がける会社などが出資し、ロボット開発を行うハコボット(資本金250万円)を設立。堀江氏がアドバイザーに就き、経営戦略を担当している。
このほどできた初号機は長さ73センチ、高さ70・3センチ、幅60センチ。電池で動き、時速4キロで往復2キロを走行する。全地球測位システム(GPS)が組み込まれ、ロボットは設定されたルートを動く。障害物を検知するセンサーもつけた。1年ほど後の実用化を目指す。
石田氏は「ロボットに配送を任せられれば、人間はもっと付加価値の高い仕事に専念できる」。将来は、20~30台の自動配送ロボットを載せたトラックが配送先近くまで行き、ロボットを降ろして配送に向かわせることを想定している。(細見るい)