日産自動車は22日、代表取締役会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕されたことを受けて横浜市の本社で臨時取締役会を開き、ゴーン容疑者の会長職を解任し、代表権を外すことを全会一致で決めた。ゴーン容疑者とともに同容疑で逮捕された代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)の代表権を外すことも決めた。
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日産は、ゴーン、ケリー両容疑者を早期に取締役からも外す方針だ。取締役の選任・解任には株主総会での議決が必要なため、来年6月の定時株主総会を待たずに臨時株主総会を開き、両容疑者を取締役から外す人事議案をはかることを検討している。
後任の会長はいまの取締役の中から今後選任する。代表取締役は当面、西川(さいかわ)広人社長だけになる。日産は定款で「取締役会で代表取締役を若干名選定する」と定めている。
ゴーン容疑者らによる不正の原因究明や再発防止策などを検討する、社外取締役を中心とした第三者委員会を設けることも、この日の臨時取締役会で決めた。
ゴーン容疑者は仏ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)と三菱自動車の会長を兼務している。三菱自は26日夕方に臨時取締役会を開いて、ゴーン容疑者の会長職を解き、代表権を外すことを提案する見通しだ。ルノーは20日の取締役会で、CEO職の暫定的な代行を置くことを決めたものの、会長兼CEO職の解任は見送っており、日産・三菱自と対応が分かれている。
ゴーン容疑者は1999年、経営難に陥った日産にルノーから派遣され、最高執行責任者(COO)に就任して日産の再建を進めた。当時から一貫して日産の代表権を持ち、日産を長年率いてきた。2000年から17年まで社長、03年から会長を務めてきたが、20年近くにわたって務めた経営トップを退くことになった。日産三菱・ルノー連合を束ねる扇の要の役割を果たしてきたゴーン容疑者の失脚が、3社の提携関係にどんな影響を及ぼすかが注目される。