日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が有価証券報告書に役員報酬を約50億円少なく記載した容疑で逮捕された事件で、ゴーン前会長が容疑を否認していることが25日、関係者への取材でわかった。側近の前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)も、役員報酬を「適切に処理した」と説明しているといい、ともに容疑について争うことになるとみられる。
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19日に逮捕されて以来、ゴーン前会長の認否が明らかになるのは初めて。東京地検特捜部の調べに対し、不正は行っていないなどと主張している模様だ。
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ゴーン前会長はケリー前代表取締役と共謀し、2014年度までの5年度分の役員報酬について、実際は約100億円だったのに、有価証券報告書には約50億円少なく虚偽の記載をしたとする金融商品取引法違反の容疑で逮捕された。
関係者によると、ゴーン前会長の報酬は、実際には年約20億円だったのに、報告書への記載は約10億円にとどめる一方、差額の約10億円は別の名目で毎年蓄積し、退任後に受け取る仕組みになっていた。差額の約10億円分については毎年、退任後の受領を明記した文書を作成していたという。
この差額の報酬について特捜部は、将来の受け取りが確定した報酬として開示義務があると判断したとみられる。これに対し、ケリー前代表取締役側は、取締役の職を解かれた後に受け取る予定のお金は役員報酬に当たらず、開示義務の対象にならないと主張することを検討するとみられる。
また役員報酬についてケリー前代表取締役は「外部の弁護士や会計士にも相談して適法と判断した」と周囲に説明。問題がないとする外部の弁護士などの書面も残されているとみられる。
ゴーン前会長は、逮捕容疑となった5年度分の約50億円に加え、直近の15~17年度分の報酬についても約30億円を過少に記載した疑いがある。隠蔽(いんぺい)したとみられる報酬は8年度分で約80億円にのぼる見通しだ。