シェークスピアの名作劇を宮藤官九郎が演出した「ロミオとジュリエット」(松岡和子訳)が20日夜、東京・下北沢の本多劇場で開幕した。客席に宮藤流の笑いがはじける異色の悲劇だ。初日を観劇した英文学者・東大教授の河合祥一郎さんに寄稿してもらった。
英文学者・東大教授 河合祥一郎(寄稿)
「ロミオとジュリエット」の上演は数々あれど、可憐(かれん)な23歳(森川葵)が演じるジュリエットに対して50歳のおじさん(三宅弘城)がロミオを演じるという企画は珍しい。
「ああ、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたがロミオなの?」という台詞(せりふ)が聞こえてきそうだが、演出の宮藤官九郎は「なるべくまんまやる」という宣言どおり、松岡和子訳を書き直したりしない(ジュリエットがロミオに一目惚(ぼ)れしたとき、乳母に「あれは駄目です。あれは長年引きこもりだった男です」と言われるとか、台詞の一部が関西弁になるとか、ところどころくすぐりが入る程度だ)。
なにしろロミオが登場しただけ…