平成を代表する娘役が、悲劇の皇妃を演じきって歌劇の舞台を去る。月組のトップ娘役を6年以上にわたってつとめてきた、愛希(まなき)れいか。あこがれだった「エリザベート」の東京公演千秋楽(11月18日)で退団する。
上演千回、10度目の「エリザベート」 月組若い力結集
宝塚を志すきっかけになったのがこの作品。が、「歌に自信がなかったですし、『やりたい』と正直に表に出せなかった」。それだけに、入団10年目、サヨナラ公演での巡り合わせに「私には、10年というこの時間が必要だった。やるからには、死にものぐるいで最高のものをお届けしたい」と言い切る。
稽古前には、エリザベートが生きたオーストリア・ウィーンを訪ねた。ゆかりの博物館のほか、街や森を歩き、実在した彼女の空気、時間を体感した。原点となる少女時代は、福井県坂井市出身の自身と重なる部分も多いという。「自然に囲まれて木に登ったり、虫取りをしたり、けがをして傷を作ったり」。自由奔放な少女だった。
入団当初は男役だったが、3年目に娘役に転向。定評のあったダンスにくわえ、硬軟自在な芝居、歌にも磨きをかけ、実力、人気ともにトップに登りつめた。
いま宝塚人生を振り返り、「『…