カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致に意欲を示している名古屋市の河村たかし市長は26日、ナガシマリゾート(三重県桑名市)周辺でIRを整備できないか三重県などに提案したことを明らかにした。東海地方随一の集客施設に新たな目玉を加え、地域全体を盛り上げたいとしているが、三重県と桑名市は慎重な姿勢だ。
河村市長はこの日の会見で、IRの候補地を来春にも選ぶ方針を表明し、ナガシマリゾートのほか、名古屋市中心部と名古屋港を挙げた。規模は5~10ヘクタールとし、運営会社や市民の意見を聞き、誘致に乗り出すかどうかを決めるとした。
ナガシマリゾートについて、「市外だからという狭い了見ではなく、地域が盛り上がってくれれば。ナガシマにIRを足すと、東京ディズニーランドぐらいのものができる」と述べた。名古屋市としてどう協力するかを問われると、「みんなで行こみゃあということ」と述べた。
IRを巡っては、愛知県も中部空港島(愛知県常滑市)への誘致を検討している。河村市長は「県がどうされるかよくわからん」と述べ、愛知県とは連携しない考えを示した。
三重県の鈴木英敬知事は26日、「候補に挙げられたこと自体、驚きをもって受け止めている」と報道各社の取材に答えた。IRには青少年への悪影響なども指摘されており、「県が積極的、主体的に(誘致に)取り組むスタンスではない。前のめりになることはない」と述べた。桑名市の伊藤徳宇市長も「驚いている。IRについて考えていなかったので、今後、地域への経済効果も含めて、調査研究をしていきたい」とのコメントにとどめた。
IRの設置は、誘致する都道府県や政令指定市と事業者が共同で整備計画をつくり、国が審査して認定する。三重県と名古屋市が共同提案できるかについて、政府のIR推進本部は「住民の合意形成や県警との連携などは設置場所の自治体が担う。責任の明確化のためにも、県外の自治体が越境することはあり得ない」としている。(関謙次、中川史、深津慶造)