ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島近くでロシアの監視船がウクライナ艦船に発砲した問題を受け、国連安全保障理事会は26日、公開の緊急会合を開いた。米国は「ウクライナの領域を侵す言語道断の主権侵害だ」とロシアを非難したのに対し、ロシアは「ウクライナの挑発だ」と反発した。
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米国のヘイリー国連大使は同日、トランプ大統領らと意見交換したと説明し、「私の演説には米政府の最高レベルの懸念が反映されている」と述べて演説を開始。ウクライナ艦船への発砲などは「文明国ではありえない。国際社会は非難しなければならない」と批判した。「トランプ大統領が繰り返しているように、米国はロシアとの正常な関係を望んでいるが、今回のような行動が不可能にしている」とも述べた。
ウクライナのエルチェンコ国連大使も当事国として出席し、国際社会が対ロシア制裁を強化して圧力をかけるように求めた。
これに対し、ロシアのポリャンスキー国連次席大使は、ウクライナ側が境界線を侵犯したと主張。「ウクライナの大統領の支持率は選挙を4カ月後に控えて低迷している」「(危機を演出し)自らを国家の救世主に見せようとしている」と訴え、「事前に計画された挑発行為だ」と述べた。(ニューヨーク=金成隆一)