横浜市神奈川区の大口病院で2016年、高齢の入院患者が相次いで中毒死した事件で、神奈川県警は30日、病院の当時の看護師久保木愛弓(あゆみ)容疑者(31)=横浜市鶴見区=を、男性患者(当時89)に対する殺人容疑で追送検した。県警への取材でわかった。久保木容疑者はすでに3人の患者への殺害容疑で逮捕され鑑定留置されており、殺人容疑で立件される被害者は今回で4人目。
県警は、投与予定の点滴に消毒液を混入させた、とする殺人予備の疑いでも久保木容疑者を追送検した。久保木容疑者は殺人予備容疑は認めているという。
神奈川署特別捜査本部によると、久保木容疑者は16年9月13~18日、院内で点滴に消毒液を混入させ、投与を受けた無職中島秋人さん=横浜市鶴見区=を殺害。さらに同18~19日、点滴6本に消毒液を混ぜて殺人の準備をした疑いがある。
捜査関係者によると、久保木容疑者の狙いは別の患者だったが、その患者が亡くなったため、消毒液が混入された点滴が結果的に中島さんに投与された可能性があるという。
久保木容疑者は、男性2人(いずれも当時88)と女性(当時78)の計3人を殺害したとして今年7~8月にそれぞれ逮捕され、9月から精神鑑定が行われている。これまでの調べに容疑を認め、「容体の悪い亡くなりそうな患者を選んだ。自分の勤務中に亡くなると、説明しても家族が納得してくれるか不安だった」と述べているといい、自分の勤務時間外に死亡させようとした、と捜査本部はみている。