日本取引所グループ(JPX)の清田瞭(あきら)・最高経営責任者(CEO)が社内規則で禁止されている金融商品への投資をした問題で、JPXは30日、清田氏の月額報酬の30%を3カ月減額する処分を発表した。清田氏は会見で「深くおわびする」と謝罪し、「社内ルールの理解が足りておらず、購入可能だと誤解していた」と説明。投資をしたのは「引退後の人生設計のための資産運用の一環として買ってしまった」という。
清田氏の処分は同日の取締役会で全会一致で決議された。再発防止策として、全役員が保有する上場有価証券について半年ごとに社内に報告する制度も導入する。
清田氏はCEO就任後の2016年12月から今年8月にかけて、太陽光発電などに投資する東京証券取引所上場のインフラファンド2銘柄を約1億5千万円分購入。10月中旬に社内の指摘で内規違反が発覚して売却した。売却益約2千万円は日本赤十字社に寄付した。今回の問題でインサイダー取引のおそれはないといい、清田氏は「この立場(CEO)にいる限りは新たな証券投資は控えたい」と述べた。
JPXは社内規則で役職員に対し、国債や上場投資信託(ETF)を除く個別企業の株式売買を禁止している。
内部統制に詳しい八田進二・青山学院大名誉教授は「JPXのCEO就任後の取引は常識としてあり得ない。市場設置者として世間に示しがつかず、そのトップとしての資質や倫理観が問われている」と指摘する。