日本取引所グループ(JPX)は27日、清田瞭(あきら)・最高経営責任者(CEO)が社内規則で取引が禁止されている東京証券取引所上場のインフラファンドを約1億5千万円分購入していたと発表した。清田氏は社内調査に対して「誤解して購入した」と説明しており、30日の取締役会で清田氏の処分を決定する。
インフラファンドは太陽光発電などのインフラ施設を投資対象とする投資法人や投資信託。清田氏はCEO就任後の2016年12月から今年8月にかけて、タカラレーベン・インフラ投資法人(上場は16年6月)とカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(同、17年10月)の2銘柄を計1500口購入していた。購入額は計約1億5337万円。長期保有が目的で、この間の売買はしていないという。
JPXは役職員に対し、不正な利益を得ているとの疑念が生じないよう、国債や上場投資信託(ETF)を除く個別企業の株式売買を禁止している。問題は10月中旬にJPX社員の指摘で発覚し、社内調査に対して清田氏は「インフラファンドがETFと同様に取引できると誤解していた」と説明。10月下旬に保有銘柄を全て売却した。配当や売却で得た利益は約2017万円で、清田氏は全額を日本赤十字社に寄付する意向という。
今回の問題は、タカラレーベン・インフラ投資法人の有価証券報告書で清田氏が大株主になっていることに気づいたJPX社員が、10月18日に上司に報告して判明。翌19日に清田氏から事情を聴いた。内部統制に詳しい八田進二・青山学院大名誉教授は「CEO就任後の取引は常識としてあり得ない。市場設置者として世間に示しがつかず、そのトップとしての資質が問われている」と指摘する。