日産自動車で4日、役員報酬の過少記載の疑いで逮捕された前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の後任会長候補を選ぶ委員会が始まった。同日は候補を絞らず継続協議となった。ゴーン前会長に権力が集中していた日産三菱・仏ルノー連合の行方を占う重要な人事で、日産は今回の事件を契機にルノーの日産への支配力が強い経営体制を改めたい考え。今後もルノーとのせめぎ合いが予想される。
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日産は先月22日の臨時取締役会でゴーン容疑者の会長職を解任し代表権を外した。同じく逮捕された取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)の代表権も外した。後任会長の候補は、4日からの社外取締役の委員会で取締役から選び、17日の取締役会で会長を正式に決める。
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会長候補を選ぶ委員会のトップは経済産業省出身で日本エネルギー経済研究所理事長の豊田正和氏。他の2人はルノー出身のジャン・バプティステ・ドゥザン氏と、レーサーの井原慶子氏。
委員会関係者によると、4日の協議は1時間ほどで終わった。その中で豊田氏は「信頼できる人が会長になるべきだ」と述べ、ドゥザン氏は「(選任には)時間がほしい」と慎重な議論を求めたという。
日産の取締役会では、会長が取締役議長を務めることが定款で決められている。日産はゴーン前会長の失脚を機に、日産株の43%を持つルノーの影響力を弱めようと資本関係の見直しも視野に入れる。日産出身者を会長として取締役会の主導権を握ることを狙っており、西川広人社長兼CEO(最高経営責任者)が会長を兼務するのを軸に調整している。西川氏に権限が集中するとの批判を避けるため、暫定会長とする可能性もある。
ただ日産とルノーは1999年に資本提携した際、COO(最高執行責任者)以上にルノー出身者を置くことを決めている。このためルノー出身者をCOO以上のポストに処遇し、ルノー側に配慮するとみられる。
一方ルノーは新会長にはゴーン前会長と同様にルノー出身者を置き、影響力を保ちたい考えだ。
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