国内製薬最大手の武田薬品工業が、アイルランドの製薬大手シャイアーと買収に合意してから約7カ月。日本企業で過去最大規模のM&A(企業合併・買収)が実現する。世界のメガファーマ(巨大製薬企業)の仲間入りに向けたクリストフ・ウェバー社長の渾身(こんしん)の一手を、機関投資家など大半の株主が支持した。ただ、財務悪化と背中合わせの買収のリスクは大きい。ウェバー氏の手腕が今後問われる。
5日に大阪市で開かれた武田の臨時株主総会。会場は約850人の株主でほぼ埋まり、買収議案は提案通りに可決された。ウェバー社長率いる経営陣は大きなハードルを越えた。武田は年明けにも新薬開発競争にしのぎを削るメガファーマの一角に名を連ねる。
製薬業界では近年、収益への貢献が大きい新薬の開発期間が長期化。自前で開発を続けるには投資負担が重くなっており、M&Aで高収益が見込める新薬候補の取り込みを図る動きが活発になっている。武田によるシャイアー買収も、こうした流れに連なるものだ。
血友病など希少疾患の治療薬に強みがあるシャイアーは多くの新薬候補を持ち、販売の承認待ちの製品も複数ある。武田はこれらの新薬候補を手中に収める。国内製薬大手の幹部は「会社が大きくなれば、多くの資金を研究開発に回せる」と指摘。画期的な新薬開発への期待もふくらむ。
だが、買収に伴う巨額の借り入…