犯罪収益の資金洗浄(マネーロンダリング)の状況などをまとめた今年の「犯罪収益移転危険度調査書」を国家公安委員会が6日公表した。仮想通貨について初めて詳しく分析。取引が世界規模で拡大し、マネロンに悪用される危険度は通常の金融取引より高いと指摘している。
調査書は、仮想通貨の取引は匿名性が高く、犯罪で得た資金の移動が短時間で国際的に広がり、追跡が難しいと指摘している。仮想通貨は昨年4月施行の改正犯罪収益移転防止法で、交換業者にマネロンなどが疑われる取引の届け出を義務づけた。警察庁によると、届け出件数は昨年4~12月は669件で、今年1~10月は5944件だった。
今年は1月に交換業者コインチェックで約580億円相当の不正流出が起きるなど仮想通貨のネットワークに不正アクセスして送金させる事件が目立った。1~6月で158件、被害総額は約605億300万円相当に上り、昨年1年間の149件、約6億6240万円相当を上回っている。
仮想通貨がマネロンに使われた例としては、不正入手されたクレジットカード情報などで仮想通貨を購入後、米国の交換サイトを経由して換金、他人名義の口座に振り込まれ、警視庁が男らを摘発した事件がある。