ネット上で仮想通貨交換所「Zaif(ザイフ)」を運営する仮想通貨交換業者「テックビューロ」(大阪市)は20日、外部からの不正アクセスを受け、管理していたビットコインなど複数の仮想通貨計約67億円相当が不正に流出したと発表した。このうち約45億円相当分が顧客から預かった資産といい、同社は全額を補償する方針。
国内で起きた仮想通貨の大規模な不正流出は、今年1月に仮想通貨交換業者コインチェックが外部からの攻撃を受け、約580億円分を流出させて以来とみられる。
テックビューロによると、14日午後5~7時に外部から不正アクセスを受け、ビットコイン、モナコイン、ビットコインキャッシュの三つの仮想通貨が流出するハッキング被害を受けた。17日に異常を検知し、翌18日に被害を確認した。すでに金融庁や捜査当局にこの問題を報告したという。
流出した仮想通貨の大部分はインターネットにつながった状態の「ウォレット」と呼ばれる口座で保管されていたという。同社は仮想通貨の入出金の停止を続けている。
同社は20日、別の仮想通貨交換所を運営するフィスコ(東京都港区)から約50億円の金融支援を受けることで合意したことも発表した。テックビューロの現経営陣は問題収拾後、責任をとって退任する方針だという。
テックビューロは改正資金決済法上の登録を金融庁から受けた正式な「登録業者」だが、資金洗浄(マネーロンダリング)対策などの不備が指摘され、同庁から2度の業務改善命令を受けていた。(榊原謙)