日本や豪州など11カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)が今月30日に発効するのを前に、イオンリテールは本州と四国のイオン約400店舗で豪州産牛肉を値下げすると発表した。関税が下がる分を消費者に還元し、消費喚起につなげる狙いだ。
TPPは広範囲の物品関税の撤廃やサービス・投資の自由化を域内で進める協定。関税が即時撤廃されたり、段階的に下がったりするため、消費者にとっては輸入品が安くなるメリットがある。
値下げするのは、プライベートブランドの「トップバリュ グリーンアイナチュラル タスマニアビーフ」。7日から「サーロインステーキ用」(100グラム当たり税抜き598円)と「リブロースステーキ用」(同498円)の2種類を、いずれも100グラム当たり税抜き480円に引き下げる。
関税が下がるのは30日午前0時からだが、クリスマスや年末年始に向けてステーキ用牛肉の需要が増える時期に合わせた。為替の変動や輸送費の高騰など関税以外の経費を勘案するため、これらの値下げは来年2月末までとする。
TPPの発効初年度、加盟国から輸入する牛肉の関税は38・5%から27・5%になり、2033年にかけて段階的に9%まで下がる。ただし、15年に発効した日豪の経済連携協定(EPA)に基づき、豪州産の関税率はすでに29・3%になっている。TPP発効後すぐに関税が大きく下がるわけではないが、「将来にわたってのメリットをお客様に還元したい」(畜産商品の担当者)。今後は牛肉以外の輸入商品も価格を見直す予定だ。(高橋末菜)