電子部品大手、京セラの創業者、稲盛和夫名誉会長(86)が主宰する経営塾「盛和塾」が、2019年末で活動を終え、解散することになった。稲盛氏が高齢となり、体力面から精力的に参加するのが難しくなったためだという。
盛和塾は1983年、若手経営者から経営哲学を学びたいと要望を受けた稲盛氏が、自主的な勉強会「盛友会」として始めた。89年に現在の名称に変更した。
塾では、稲盛氏が京セラの経営管理手法として導入した「アメーバ経営」などを若手経営者らが学んでいる。事業部門を小集団に分け、採算管理を徹底するやり方だ。今では国内56、海外44カ所で、約1万4千人が参加している。
稲盛氏は59年に京セラを創業したほか、第二電電(現KDDI)を立ち上げたり、経営破綻(はたん)した日本航空の会長として再建を主導したりした実績がある。
塾は当初、80歳をめどに活動を終える予定だったが、入塾希望者が後を絶たず、継続していた。来年7月には横浜市で世界大会を開き、稲盛氏も出席予定だという。
「何度も何度も考えた結果、この塾は一代限りで終わらせるのが一番良いと判断した。組織を残すと、いつか組織を悪用したり、組織の名前を汚したりする人間が出てくる」。稲盛氏は盛和塾のホームページに塾生へのメッセージを掲載し、解散する理由を説明している。(辻森尚仁)